受給事例
50代 男性 障害厚生年金3級
数年前から慢性的な腰痛があり、徐々に足の痺れが悪化。50メートルほど歩くと足に力が入らなくなり、座り込んで休まなければならない状態でした。
仕事は事務職でしたが、相談に来られた時には、通勤時の階段昇降や、長時間の立ち仕事が困難となり、欠勤や早退を繰り返すような状態まで悪化されていました。
脊柱管狭窄症の場合、レントゲンやMRIの画像所見だけでなく、「肢体の障害用」の診断書における「日常生活動作(ADL)」の評価が極めて重要です。診断書の作成依頼の際には、医師に「片足立ちが困難」「階段は手すりがないと昇れない」「和式トイレが使えない」といった日常生活の不自由さを正確に伝えるためメモ書きを手渡すように伝えました。また、病歴・就労状況等申立書の作成においては、間欠性跛行によって、仕事のパフォーマンスが著しく低下していることや、職場での配慮(重労働の免除、休憩の頻回取得)を詳細に記載し、労働能力の喪失を主張しました。
結果、無事に障害厚生年金3級の支給が決定しました。
「働きながらでも受給できるのか」と不安視されていましたが、労働に著しい制限があることが認められた事例です。
60代 女性 障害基礎年金2級
5~6年程前から歩行時の足の激痛と痺れに悩まされていました。
当初は「加齢による腰痛」と我慢していましたが、次第に5分も立っていられなくなり、台所での調理や掃除機がけが困難に。相談支援員の紹介で、事務所に来られた際には、外出時はシルバーカーが手放せず、横になって休む時間が一日の大半を占めるような状態でした。
初診日が第3号被保険者期間だったため、3級相当では支給されず、「家庭内での日常生活の困難さ」をいかにして具体的に伝えていくことができるかが鍵となりました。
「補助用具」の使用実態を強調: 診断書の「肢体の障害」欄において、シルバーカーや杖なしでは自立歩行ができない旨や、室内でも壁を伝わないと移動できない点等を医師に記述してもらいました。
結果、障害基礎年金2級の支給が決定しました。
脊柱管狭窄症で障害年金を請求する際の注意点
1. 脊柱管狭窄症における「症状」と「請求の経緯」
脊柱管狭窄症は、加齢や労作によって背骨の神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、神経が圧迫される病気です。
• 主な症状: 慢性的な腰痛に加え、下肢のしびれ、痛み、脱力感。
• 間欠性跛行(かんけつせいはこう): 数分歩くと足がしびれて歩けなくなり、前かがみで休むと再び歩けるようになる、この病気特有の症状です。
• 請求の経緯: 保存療法(投薬やブロック注射)を続けても改善せず、歩行困難により仕事の制限や退職を余儀なくされたり、手術後も神経症状が残存して日常生活に著しい支障が出た場合に請求を検討します。
2. 請求時の問題点と「難しさ」
肢体の障害(脊柱の障害)として請求しますが、以下の理由でハードルが高くなる傾向があります。
• 「歩ける瞬間」があること: 診察室での短距離の歩行だけで「歩行可能」と判断されると、実態より軽く評価されがちです。
• 筋力低下の証明: 単なる「痛み」だけでは認定されにくく、神経圧迫による**「筋力の低下」や「関節の可動域制限」**が数値として現れているかが重要です。
• 画像診断と自覚症状の乖離: MRIで狭窄が確認できても、それだけでは等級は決まりません。あくまで「日常生活の動作がどれだけ制限されているか」が問われます。
3. 診断書作成上の注意:主治医に伝えるべきこと
診断書は「肢体の障害用」を使用します。特に以下の点について、診察時に正確に伝えておく必要があります。
• 杖や歩行補助具の使用状況: 屋内・屋外で杖や歩行器、車椅子をどの程度使用しているか。
• 日常生活動作(ADL)の実態:
o 階段の昇降は手すりが必要か、あるいは不可能か。
o 片足立ちやしゃがみ込みができるか。
o 靴下を履く、爪を切るなどの動作に支障があるか。
• 間欠性跛行の具体性: 「100メートル歩くと5分休まないと進めない」など、具体的な距離 と休息時間を伝えます。
4. 病歴・就労状況等申立書で訴えるべきポイント
診断書では書ききれない「生活の不自由さ」を、ご自身の言葉で具体的に記載します。
• 仕事への影響: 重いものを持てない、長時間立っていられない、頻繁に休憩が必要、通勤が 困難であるといった事実を強調します。
• 家事・身のまわりの動作: 掃除機がけができない、買い物の荷物が持てない、家族にどのよ うな介助を受けているか(食事の準備、入浴、着替えなど)。
• 外出の制限: 通院以外に外出できなくなっている状況や、公共交通機関の利用がいかに困難 かを詳しく記述します。
脊柱管狭窄症の場合、認定基準にある「体幹の機能障害」や「下肢の機能障害」のどちらに該当するか、あるいは併合判定が必要かを正しく見極める必要があります。
手術を受けられた方へ:事後重症請求の落とし穴
脊柱管狭窄症で手術を受けた場合、「手術をしたのだから症状は改善したはずだ」という前提で審査が進む傾向があります。しかし、実際には術後も神経麻痺やしびれ、排尿障害などの後遺症(脊髄症状)が残り、日常生活に支障をきたしているケースは少なくありません。
手術歴がある方の請求では、以下の点が極めて重要になります。
・術前・術後の症状の変化を正確に比較して記述すること
・手術によっても解消されなかった機能障害を診断書に明記してもらうこと
・障害固定とみなされるか、あるいはリハビリ継続中としての請求かの判断
これらの判断を誤ると、本来受け取れるはずの年金が不支給になるリスクが高まります。
脊柱管狭窄症による障害年金請求は、目に見えにくい「痛み」や「歩行の持続性」をいかに客観的な数値や事実に落とし込むかが勝負です。
特に手術後も苦しまれている方や、間欠性跛行で就労に制限がある方は、ご自身だけで書類を揃える前に、ぜひ一度当事務所へご相談ください。










