2級相当の診断書で不支給になるのはなぜ?


 障害年金の申請において、医師に診断書の作成を依頼した際、「2級相当の内容で書きました」と言われることがあります。協力的な医師ほど、患者の日常生活の困難さを汲み取り、障害等級の目安に当てはめて作成してくれます。
 しかし、「医師が2級(または3級)相当と判断した診断書」があれば必ず受給できる、と考えるのは大きな間違いです。

 

  精神の障害に係る等級判定ガイドライン 障害等級の目安

 

 昨今、数値上の判定(日常生活能力の判定平均)が3.0〜3.5であり、程度が(4)と記載されているケースでも、不支給(2級非該当)となる相談が急増しています。
 なぜ「2級相当」の診断書で落とされるのか?
 主な理由は、審査側(日本年金機構)が診断書の障害等級の目安だけでなく、書類全体の整合性と実態を厳格にチェックしているからです。
 医師は「医学的見地」から診断書を書きますが、年金機構は「社会的な生活能力」という独自の尺度で審査を行います。この二つの視点の「ズレ」が、不支給という結果を生無原因の一つになっています。


障害等級の目安 計算の仕組み


精神疾患における障害年金の認定は、医師が作成する診断書の記載内容に基づき、 「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」 という2つの指標を組み合わせて、等級の目安を算出します。


1. 「日常生活能力の判定」


平均値を出す診断書には、以下の7つの項目について、4段階(1点〜4点)で評価する欄があります。まずはこの平均値を算出します。

評価項目: 「適切な食事」、「身辺の清潔保持」、「金銭管理と買い物」、「通院と服薬」、「他人との意思伝達及び対人関係」、「身辺の安全保持及び危機対応」、「社会性」


点数配分
1点 … できる
2点 … おおむねできるが時には助言や指導を必要とする
3点 … 助言や指導があればできる
4点 … 助言や指導があってもできない

    計算例: 7項目の合計が21点の場合  21÷ 7 = 3.0

2. 「日常生活能力の程度」


診断書にある、日常生活の困難さを5段階で評価する項目です。

<精神障害の場合>
(1) 精神障害(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)を認めるが、社会生 活は普通にできる。
(2) 家精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助 が必要であ る。
(3) 精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必 要である。
(4) 精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要で ある。
(5) 精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必 要である。

審査の決定打となる2つの指標(「日常条生活能力の判定」「日常生活能力の程度」)について


1. なぜ「2級相当」が否定されるのか?(3つの主な要因)

 数値が基準を満たしていても不支給になる場合、以下の「実態との乖離」が疑われています。


 ① 就労実態による「能力の再評価」これが最も多いケースです。
 医師の評価: 診察室での会話に基づき「日常生活が困難」と判断。
 審査側の視点: 「一般企業で月150時間働けているなら、社会的な日常生活能力はあるはずだ」と判断。
 ポイント: 就労している場合、その環境(障害者雇用か、配慮の有無など)が診断書に詳しく反映されていないと、数値(目安)が重くても「2級非該当」とされる確率が跳ね上がります。

 ② 診断書内の「矛盾した記述」診断書には、医師が自由に記載する欄が多くあります。
 例: 判定平均が3.5(重い)なのに、備考欄に「自分の身の回りのことは概ね一人でできている」「一人で電車を乗り継いで通院している」、といった記載があると、数値の信頼性が低いとみなされ、判定を下げられます。

 ③ 「一人暮らし」という事実「程度(4)」は本来「自発的な日常生活が困難で、常に援助を必要とする」状態を指します。もし一人暮らしをしている場合、審査側は「援助なしで生活できている=(4)ではなく(3)ではないか?」という疑いを持ちます。ここで「家族や福祉サービスの具体的な支援内容」が明記されていないと、不支給の要因となります。

2. 医師の見立てを「有効」にするための対策

医師はあくまで「医療のプロ」であり、「年金審査のプロ」ではありません。2級相当の診断書を正しく認定させるためには、以下の情報を医師に正確に伝える必要があります。
①日常生活において、できないことの具体例
・「食事はコンビニ弁当ばかり」
・「風呂は週1回しか入れない」など。
 
②出来ない事に対する、他者の援助の内容及び頻度
・「親が週に3回掃除に来ている」
・「週2回ヘルパーが来て、清掃や買い物をしている」など。

③就労の限界
・「仕事中はパニックになりやすく、休憩を多くもらっている」
・「人と接することのない仕事中心」など。

 

3.診断書の書き方を熟知していない医師へのアドバイス

全ての医師が診断書の作成に慣れているわけではありません。
記入すべきことを記入していない、もしくは、記入すべきないところに不必要な内容が書かれている等をチェックし、必要であれば医師に相談の上修正をしてもらう必要があります。
 

①「日常生活能力の判定」に比べ、「日常生活能力の程度」が重く評価されているような場には、整合性について疑義が生じますので、その理由を診断書⑪欄に医師に記載してもらう必要があります。

②精神障害の場合、診察を受けた際の一時的な状態だけでなく、現症日以前1年程度の障害状態について、好転と憎悪を勘案して判断し診断書に記載するように指示がされています(記載要領 P6)。
 診断書作成を依頼した際の現症日の状態がさほど重度ではない場合でも、その1年以内の状態を踏まえて診断書を記載してもらう必要があります。

 

 

書類は「点」ではなく「線」で見られます。
不支給になるケースの多くは、「判定数値(点)」は高いものの、その他の記述や就労実態(線)がそれに伴っていないと判断された結果です。

 現在、お手元に「不支給通知」や「診断書」の控えはございますか?もしあれば、「不支給の理由」や「就労状況の記載」についてより具体的に分析し、不服申し立て(審査請求)や再請求の方法について一緒に考えることも可能です。

 

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2026年03月13日